NMN

成分概要

NMNは、βニコチンアミドモノヌクレオチド(β-Nicotinamide mononucleotide )と呼ばれるナイアシンの代謝物です。そして、NMNは、酵素によりNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換され、様々な機能を果たすことがわかっており、近年、NMNの摂取によりサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化スイッチをONにすることが期待されております。また、マウスで老化に伴う体重増加も抑制されたというデータも示されているようです。
このNMNという成分は、加齢と共に体から減少し、この減少によってサーチュイン遺伝子が活性化しない(OFF状態の)為に老化につながるとされています。

NMNの生体内動態

NMNは、先述の通り、ナイアシンの代謝物です。また、NMNは、食物にも含まれており、イタリアの研究チームは母乳に多く含まれることも発見しています。また、NMN同様で食物に含まれるNR(ニコチンアミドリボシド)からも酵素によってNMNに変換されます。 そして、NMNは、酵素によりNAD+へと変換されます。

このNAD+は、すべての真核生物あるいは多くの原核生物で用いられる電子伝達体です。 過去、電子伝達系でATP(生体エネルギー、アデノシン三リン酸)の合成などの代謝系で見かけたことがある人は少なくないのではないでしょうか。 実は、サーチュイン(SORT1~7)とはNAD+依存性脱アシル化ファミリーであり、NMNの代謝物質であるNAD+と非常に密接な関係があるのです。

NMNの生体内動態は、未だ明確になり切っていません。摂取され腸管から吸収されNMNは、NRに変換されてから、NMNに再合成され、NAD合成に利用されているという説が有力でした。一方、血中から組織に入ってNAD合成に用いられるという動態も発見されており、前者が4~5時間という単位でNMNが利用されるのに対し、後者は5~10分という単位でNMNがNAD合成に利用されることが発見されています。

NMNの機能性

NMNに期待されている主な機能は、サーチュイン(長寿遺伝子)の活性化による老化抑制(アンチエイジング)です。 例えば、2016年に行われたワシントン大学の今井教授らの研究チームによる報告では、マウスの投与で老化に伴う多くの機能低下が改善されることが示唆されています。

また、NMNは代謝に関係するため、インスリンの感受性を改善し、糖代謝を正常化する効果も期待されています。すでに、マウスでは、その有効性が示されています。

現在、様々な研究が行われており、2020年2月には、ヒトでの安全性が慶応義塾大学の研究チームから報告されてもいます。

NMNは、2015年1月4日のテレビ番組 NHKスペ シャルで紹介されて以後、非常に注目を浴びるようになりました。 近年、NMNの製造・供給を日清製粉グループのオリエンタル酵母工業が検討しておりますが、中国からの輸入原料も活発に流通し始めています。

引用文献

最前線 — GDF11 と NMN は不老長寿の妙薬になりうるか?— 生物機能開発研究所紀要 2014; 15:20-34.
NAD+生物学研究の最前線-NMNとNRの重要性と可能性 実験化学 2017;35(20): 109-114.
Simultaneous quantitation of nicotinamide riboside, nicotinamide mononucleotide and nicotinamide adenine dinucleotide in milk by a novel enzyme-coupled assay. Food Chem. 2017;221:161-168.
Nicotinamide mononucleotide, a key NAD+ intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice. Cell Metab. 2011; 14(4): 528–536.
Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice. Cell Metab. 2016;24(6):795-806.
ベンチから世界へ NADワールドが描く老化研究のBig Picture 実験科学 2017; 35(20): 155-162.
Nicotinamide mononucleotide protects against pro-inflammatory cytokine-mediated impairment of mouse islet function. Diabetologia. 2011;54(12):3083-92. Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolite levels in healthy Japanese men. Endocr J. 2020;67(2):153-160.

食薬区分

令和2年3月31日、食薬区分が改定され、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が非医薬品リストに新規追加されました。

医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(令和2年3月31日一部改正)

How to Use

ハードカプセル(推奨)
錠剤

1日あたりの摂取目安量

50~300mg 近年は、東京大学や慶応大学でもヒト臨床試験が実施され始めています。
それら試験の1日あたりの摂取量は、100~250mgであり、海外でも、この量を参考に商品設計を行われることが増えております。